融資を引き出すための金融機関との上手な付合い方②「実践編」月刊『税理』連載コラム 2005年11月号

第11回 中小企業庁の支援策の活用

 質問 

 中小企業庁の施策である「経営革新計画」の承認を受ければ、低利で運転資金や設備投資資金の融資を受けられたり、また税制などの優遇があると聞きました。その制度の概要と優遇策について、具体的に教えてください。

 回答 

 中小企業庁では、創意と熱意のある中小・零細企業の支援の一環として、中小企業新事業活動促進法に基づき、新たなチャレンジに取り組む際に「経営革新計画」を策定し、その承認を受けた者に対して、さまざまな支援策を設けています。

 この中小企業新事業活動促進法とは、中小企業の新たな事業活動を推進するため、「創業」、「経営革新」、「新連携」の取組みを支援するとともに、これらの新たな事業活動の推進に資する事業環境基盤の充実を図るために、さまざまな支援を規定している法律です。

 その中の「経営革新」とは、中小企業新事業活動促進法において、事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ることと定義しています。また、「経営革新」の承認を受けるためには、具体的な数値目標を含んだ「経営革新計画」の作成が要件となっています。

 「経営革新計画」とは、経営を向上させる「新たな取組み」を示す具体的な数値目標を持った計画のことです。規定されている「新たな取組み」は、次の四つをいいます。

  1. 新商品の開発や生産
  2. 商品の新たな生産や販売の方法の導入
  3. 新サービスの開発や提供
  4. サービスの提供方法の導入その他の新たな事業活動

 これらは、個々の中小企業にとって新たな取組みであれば、すでに他社において採用されている技術・方式を活用する場合でも原則として承認の対象となります。ただし、相当程度普及しているものは、含まれません。

 さらに、「新たな取組み」だけではなく、それをもって経営を相当程度向上させることが必要になっています。具体的には、3年から5年の計画を立て、計画終了時における付加価値額あるいは経常利益が一定以上に向上させる目標を立てる必要があります。付加価値額とは、営業利益に人件費と減価償却費を加えたものをいい、3年計画の場合は9%以上、4年計画の場合は12%以上、5年計画の場合は15%以上の目標設定となります。これについては、従業員数で割った一人あたりの付加価値額でも構いません。また、経常利益の場合は、3年計画の場合は3%以上、4年計画の場合は4%以上、5年計画の場合は5%以上の目標設定となります。

 数値目標を含む「経営革新計画」の作成・提出後、各都道府県の審査を経て、承認された場合には、以下の事業資金、税制、販売開拓などの支援措置を活用することができます。しかしながら、計画の承認が必ずしも支援措置を保証するものではないことから、注意が必要です。

支援策

1)信用保証の特例
資金調達に必要な信用保証の限度額が拡大します。通常の保証制度のほかに、無担保保証枠も設定されています。特に小規模事業者には、無担保・無保証人保証といった制度もあります。
【窓口】各都道府県の信用保証協会

2)低利融資
固定金利で政府系金融機関から低利融資が得られます。特に中小企業金融公庫からの融資が多く見受けられます。利率も一番低い「特別利率(3)」が摘要になりますので、設備投資などが伴う場合などは、非常に便利な制度です。また、担保・保証に特例が設けられています。
【窓口】中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、国民生活金融公庫、沖縄振興開発金融公庫

3)経営革新補助金
経営革新を行うための経費の一部が国と都道府県によって補助されます。

4)投資
ベンチャーファンドの投資対象となることで資金調達が期待できます。

5)設備投資減税
計画実施に必要な設備投資について、特別償却や税額控除などの税制上の優遇措置があります。

6)留保金課税の停止
同族会社の留保金課税が課税対象外になります。

7)産業財産
計画によって開発された技術について、特許に審査請求料、特許料が減額されます。

8)販路開拓サポート
東京・大阪の中小企業・ベンチャー総合支援センターの販路開拓専門員が計画承認企業など新商品を商社・企業などに紹介または取り次ぎを行います。

9)ビジネスチャンスの広がり
全国の計画承認企業等が開発した新商品や新技術を紹介し、ビジネスマッチングを図る中小企業総合展へ参加する機会を提供します。

中小企業金融公庫では、経営革新計画の承認を得た企業に対して、0.7%(9月9日現在)の特別金利で融資を受けることが可能となっています。企業を見つめ直す意味でもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。