釧路市が緊急雇用安定地域に指定

 月曜の朝8時に「甲賀会計FAX通信」で最新の情報を皆様にご提供していますが、今回は、7日の午前に政府の閣議で決定された「地域雇用開発等促進法」に基づく緊急雇用安定地域に「釧路市」が指定されたことに対し、現状の分析と対応についての情報をご提供したいと思います。

 緊急雇用安定地域には全国で5市、道内からは、釧路、函館、旭川が指定されました。期間は、7月10日から翌年の7月9日までの1年間となっています。過去に道内では、1987年の津別町、1995年には炭鉱閉山に伴う地域経済の悪化に対して夕張市に発動されました。

 ここで緊急雇用安定地域に指定される基準を見てみましょう。

  1. 特定の不況業種が地域経済に占める比率が高いこと。
  2. 有効求人倍率急激に悪化している。

 などです。

 1)については、漁業、炭鉱、紙パルプと特定の産業が釧路市に集約されていることは明らかですね。
 2)については、釧路市の指標を見てみましょう。


1998年4月1997年4月
水産水揚高

17千トン

2,155百万円

17千トン

2,519百万円

新設住宅着工数103戸115戸
有効求人倍率0.32倍0.43倍
石炭出炭量149千トン159千トン
製紙生産量97千トン96千トン

(日銀釧路支店発表-帝国データバンクより掲載)

 水産関係に関しては、水揚高が同じであるのにもかかわらず金額が減少していること、住宅の新規着工が手控えられている、失業者に対して求人の割合が確実に減少していること、などがおわかりいただけると思います。

 すなわち、「国」が客観的に「釧路市」を評価して「危ない」と判断し、今回の緊急雇用安定地域に指定したわけです。これは、国内に「釧路市は危ないぞ」と宣伝しているようなもので、今後、各企業が釧路市にある各企業に取引を抑制してくるものと思われます。外部からの資金が流入せず、また、地方に資金が流失していくことになると「釧路市」の経済は、ますます、冷え切ることになるでしょう。

 また、当事務所がセミナーでご紹介した「これからの金融機関の付き合い方」すなわち、金融機関が各企業を係数により徹底的に管理をし、各金融機関の存続のために(BIS規制のため銀行の自己資本比率を上昇させなければならない)破綻懸念先・破綻先の企業を切っていきます。タイミングとしては、企業が各金融機関に決算書を提出し、各金融機関の融資担当者が情報を入力し、本店の審査部を通して結果が出たときからです。金融機関は、担保・保証人をあらためて要求してきます。あくまで、この作業は、事務的に行われるため、「ちょっと待ってよ…」はもう通じなくなります。

 たくぎんの受け皿銀行として、北洋銀行・中央信託銀行が名乗りをあげました。この2行は、正常債権を中心にしか受け継がない銀行です。それ意外については、「整理回収銀行」が引き継ぐことになりました。

 詳しく説明すると、「債権」すなわち、銀行側からすると「貸し金」は、4つに分類されています。第一分類は、いわゆる正常債権ですべて引き継がれます。第二分類とされる「懸念先」について1億円未満の債権に関しては引継ぎが確実とされている模様です。ただし、それ以上の部分については、北洋銀行は、引継ぎを行わないというスタンスです。第三分類・第四分類の債権はいわゆる「破綻先」ですから整理回収銀行にいってしいます。決算書上に「整理回収銀行」とでている企業は、もう、消滅するしかないのです。

 今後の対策として、

 当事務所は、全国的な会計人組織であるTKCに加盟しております。TKCコンピュータ会計システムで、処理されているお客様については、月次巡回監査を通じて、経営者自らが経営意思決定を行うために必要な財政状態・経営成績を把握できる仕組みがとられております。数字を過去的なものととらえるだけでは、あまりにも十分な資料で、現状分析、さらには、予算管理も可能となっています。

 今後、税金・税務署対策はもちろんですが、お客様と金融機関と当事務所が三位一体となったシステム作りをさらに推し進めていく所存でおります。更なる、お客様のご理解をいただきたいと思っております。